「・・・いいこと思いついた!」
もう寝ようと二人一緒にベッドに入った時だった。
いきなり大声を出す柚子に一体何事かと驚く芽衣。
「何なの急に」
芽衣が柚子のほうを振り向くと、至近距離に柚子の顔。
「・・・柚子?」
「しっ。・・・黙って」
更に接近してくる柚子に反射的に目を閉じる芽衣。
「違うよ芽衣。キスじゃなくて」
「え?」
芽衣が目を開くと同時に柚子は芽衣の耳に息を吹きかける。
「・・・っ!」
突然のことにビクリと体を反応させる芽衣。
「やっぱり、耳が弱いんだ〜」
「な、何言って・・・んっ・・・!」
再び耳に吐息をかけられ柚子の腕から逃れようとする芽衣だが、
「だーめ。逃がさないよ」
強引引き寄せられて、でも抵抗できない。
「芽衣の可愛い声聞きたいな」
そう言って柚子は芽衣の耳にそっと舌を這わせる。
「んぅ・・っ!」
やめてほしくて柚子の腕をぎゅっと掴むが、柚子はお構いなしにそれを続ける。
「だ・・・めっ・・・っ」
「どうして?」
「だって・・・汚いし・・・」
「じゃあ、綺麗にしようか」
「え?」
柚子の言葉の意味がわからず聞き返そうとした芽衣はすぐその意味を知ることになる。
柚子の手で頭を押さえられて、
「や・・・っ・・」
先ほどと同じくまた柚子の舌が芽衣の耳を這いまわる。
「柚子・・・っ」
抗議するようにその名を呼んでも柚子がそれをやめる気配はない。
耳たぶをきゅっと吸われて芽衣はまた体をビクリと反応させるが柚子は構わずさらに耳の穴まで舌を入れてくる。
「んっ・・・!やだ・・・っやめ・・・っ」
全神経が耳にいってしまい体中がぞくぞくする感覚。これ以上続けられると気がどうにかなってしまいそうで怖くなり必死に柚子の体を引きはがす。
「芽衣・・・。そんなに嫌なの?」
「・・・嫌じゃないけど、その」
「うん?」
「何だか怖くて・・・」
芽衣の言葉に、そっか、と小さく呟いて柚子は芽衣を抱きしめた。
「どうして芽衣は耳が弱いのかな〜」
「知らないわ。好きでなったんじゃないもの」
「うーん。そうだよねえ。でも・・・」
「でも?」
「弱いってことは感じるってことだって本で読んだけど」
「な、何言って・・・」
「あー。動揺してる〜。図星なんだ〜!」
顔を真っ赤にして黙り込む芽衣に柚子は、
「ねえねえ。また耳食べちゃっていい?」
怖くなったらやめるからさ。なんて言って無邪気に笑う柚子に、芽衣はイエスのかわりに唇を押し付ける。
「んっ・・・」
深まっていくキス。でも、これなら怖くない。
舌を絡めあい、その行為に夢中になってお互い何も考えられなくなる。
「はぁ・・・っ」
息が続かなくなってお互い唇を離し息をつく。
「ねえ、芽衣」
「・・・何?」
潤んだ瞳でお互い見つめあう。
「芽衣、大好き」
柚子の顔がまた近づいてきてその口づけを受け入れるべく芽衣は瞳を閉じた。

・・・私も。

心の中で、そう呟きながら。



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