あたしはひとり悶々と布団の中で考えていた。そう今日はホワイトデー。芽衣からプレゼントをもらいたいんだけど。でもまあよく考えたら芽衣はそんなことするタイプではないししかもホワイトデーすら知らない様子なのだ。あーあ、まあまた来年期待するか。いやまずはホワイトデーの存在を教えとかないと。なんて考えたらもう寝る時間なせいか芽衣が布団に入ってきた。
「柚子?」
「は、はい?」
「あなた今日様子変よ、何かあったのかしら?」
「うーん。あたしに何かあったんじゃなくて世間であることが起きてるんだけどねえ」
「?」
「あの。芽衣は今日が何の日かわかる?」
「・・・何かあったかしら」
「ホワイトデーだよ!」
「ああ。そういえばそうね。で、それがどうかしたの?」
「いやだからさあ。う、うーん。その・・・」
「?」
「あの。マジでわかんないの?」
「・・・?」
不思議そうに首をかしげる芽衣がかわいくて襲いそうになったけど我慢した。
「ホワイトデーって。確か男性が女性にバレンタインのお返しをする日だったわよね」
「うんまあそうだね」
あたしの言葉にまた考え込む芽衣。頼むからその困った顔するのやめてほしい。かわいくてあたしの心臓がもたないっつーの。
「えっと。つまり・・・」
「・・・」
だからそのかわいい仕草と表情やめてお願い。
「あ。・・・もしかして、私からプレゼントがほしいってことかしら?」
「や、やっとわかったか〜」
「ごめんなさい私そういうのあまりよくわからなくて・・・」
「あ、いや気にしないで、芽衣はそういうところがかわいいんだからさ」
「ごめんなさい」
「そんな謝らないで、芽衣何も悪くないじゃん」
「だってあなた不愉快でしょう?」
「そんなわけないじゃん!もう気にしないで、あたしが勝手に期待しただけなんだから」
「でも私もプレゼント送りたいのよね、だってバレンタインにあなたからちゃんともらってるのだし」
「いやいや。気持ちだけでいいよー」
あたしにプレゼントしたいのか何か考え込んでる芽衣がいじらしくて。あんまりそういうかわいい仕草するのはほんとやめてほしい。あたしの心臓がもたない。そのうち死ぬかもしんないなああたし。
「・・・柚子」
「うん?」
「目を閉じてくれるかしら?」
「え?いいけど・・・」
言われるがまま目を閉じたあたしの頬にその手がそえられるのとほぼ同時に唇に触れる慣れた感触にあたしはその意味を理解する。
「・・・」
そっと目を開けると芽衣は自分から仕掛けたくせに赤い顔して目をそらした。
「プレゼントありがとう芽衣」
「・・・ええ」
あたしは芽衣を抱きしめた。
「来年のホワイトデーのプレゼントもこれがいいなああたし」
「わかったわ」
「あ、できたらもうちょっと長くてしつこいほうが」
「あなたそういうことしか頭にないの?」
「うん!」
芽衣はあきれたようにため息をつく。
「あ、そうだ。あたしからもお返し今するね」
「ホワイトデーってそういう日だったかしら」
「そうだよ?愛を確かめ合う日だもん」
「そうなの・・・?」
納得いかなそうな芽衣にあたしは強引に唇を押し付けて。それから眠くなるまで夢中でキスをした。

・・・来年のホワイトデーも楽しみだな、と思いながら。



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