いつものように迎える普通の朝。 でも、なんだか自身の体に違和感を覚える柚子はこれがなんなのかとりあえず考えてみることにした。 なんだか体がだるく、そして熱くて、ほてったようなかんじ。そしてうまく言えないがこのまま寝てたい気分。 うーん。何だろう。さっぱりわからん。 ・・・と、考えることを放棄したところで芽衣が起きてきた。 「ん・・・」 寝起きの芽衣はかわいい。いやすべてかわいいけど。 「芽衣、おはよう」 「・・・ええ、おはよう」 お互いどちらからともなく唇を合わせる。 おはようのキスはもう習慣だった。 しかし唇が離れた途端考えこむような様子の芽衣。 いったいなんだろう。また疑問でもあるのかな、なんて思っていると。 「・・・あなた、もしかして熱があるんじゃない?」 「え?」 「だって・・・」 そう言って言葉を途切れさせる芽衣。 「だって、・・・何?」 柚子が問いただすと芽衣は顔を赤らめながらこう言った。 「いつもより、唇が熱いから・・・」 「そ、そっか」 「そっかじゃないわ。熱があるか早くはかって」 「え・・・だ、大丈夫だよ!一緒に登校しようよ!」 「いいから熱はかって」 「・・・う、うん。そこまで言うなら・・・」 棚にある体温計をとって、脇にいれる。 そしてしばらく沈黙のあと、ピピピと体温計が鳴る。 「・・・え」 その体温を見て思わず絶句する私を見て芽衣は、 「え、じゃわからないわ。ちょっと見せて」 「い、いやあのっ。今言うからっ」 芽衣が至近距離に近づいてきてドキドキして余計に体が熱くかんじたのであせってそう答えた。 「何度だったの?」 「・・・39度」 「えっ・・・」 そりゃびっくりするよな。私もびっくりだし。 ひとりで納得してると、芽衣がいきなり私の腕をがしっと掴んだ。 「な、なな何っ!?」 「だから言ったでしょう熱があるんじゃないかって!それも39度だなんて・・・っ」 私は39度熱があったことよりも芽衣が怒ってることにびっくりした。もしかして、心配してくれてるのかな。そう思うと嬉しい。 「・・・ちょっと。何笑ってるのよ」 にたにたしてる私を見て芽衣はさらに怒ったように言う。 「ごめんごめん。・・・あ、芽衣。学校遅れるよ。行ってていいよー」 「・・・いいわ」 「え?」 「・・・今日は休むから」 「えっ・・・?」 芽衣が、学校自ら休むだなんて。今年のトップニュースベスト3だなとか考えている私を見て、芽衣はまた怒ったように言う。 「早く、横になって」 「うん・・・わかった。・・・あ、そうだ」 「何?」 「えーと。今日は一日看病してくれるの?」 そう言うと芽衣は顔を赤らめながら小さい声で呟いた。 「・・・ええ、そうよ」 「・・・うーん」 知らないうちに眠ってしまっていたようで、起きて時計を見てびっくりする。 「うわ!もう12時か!」 芽衣に、お昼ご飯作ってあげないと。そんなことを思いながら体を起こしたが、 「うう。・・・だめだしんどい・・・」 頭がくらくらして額をおさえてため息をつく。 まだ、熱はさがっていないようだった。 「何やってるの!」 「うわっ芽衣!!いや、お昼作らないとと思って・・・っ」 「ばか」 「ば、ばか??」 「病人なんだからおとなしく寝てなさい」 「だってお昼どうすんだよー」 「私が・・・」 「え?」 「私が、作ったから」 そりゃ大変だ。そんな風に思ったことが顔にでたのだろうか、芽衣はため息をつきながら言う。 「・・・今、もってくるから」 「あー。いいよ」 「え?」 「ちょっと、気分悪くて食べられないから」 「・・・熱、まだ下がらないのかしら?」 「うーん。そうみたい」 「そう。・・・じゃ計らないと」 「うん」 すぐ隣に置いてあった体温計で熱を測る。しかし、いつまでたっても音がならない。 「ん・・・?」 「変ね。音がならないみたいだけど」 「うん。おかしいなー」 体温計を取り出してみてみると、何も表示されてない。 「あちゃー。こわれてるのかなー」 「他に体温計は?」 「うーん。それ以外ないなあ」 「・・・そう」 じゃあ。・・・そう言って芽衣の顔が近づいてくる。 「芽衣?」 「・・・黙って」 そう言われて口を閉じた瞬間、お互いの唇が重なる。 びっくりして固まる私に口づけること数秒。 そっと芽衣が唇を離す。 「な、いきなりなんだよっ」 「・・・まだ、熱あるみたいね」 「はあ?」 「体温計がないから計ったんだけど」 「芽衣、反則」 「え?」 不思議そうな顔をする芽衣の腕をつかんでぐっと引き寄せる。 「・・・・っ」 強引にキスをする私に芽衣は体をびくりとさせたが抵抗はしなかった。 それをイエスの合図と受け取ってキスを続ける。 舌を絡ませてだんだんと深くなっていくその行為に、お互い何も考えられなくなっていく。 ぐるぐるぐる・・・・。 「?」 聞こえてきた音に我に返る二人。 「あはは!芽衣そんなにお腹すいてたんだ最高〜!」 大笑いする柚子に顔を真っ赤にしてうつむく芽衣。 「・・・病人はおとなしく寝てなさい」 そういって去ろうとする芽衣を手をとり引き留める。 「柚子?」 「あのさ」 その手をぎゅっと握って柚子は微笑みながら言った。 「あとでまた、熱はかってくれる?」 照れたようにうなずく芽衣の手にそっとキスをする柚子だった。 |