最近あたしはイライラして仕方がない。原因はわかっている。この間、ユズっちが貧血で倒れたときに偶然ユズっちと会長がキスしているのを見てしまったのがきっかけで、ユズっちと会長が姉妹じゃなくて恋仲だということはわかった。別にそれはいいのだ。確かにあたしはユズっちが好きだけど、だからといってこのイライラした気持ちは嫉妬じゃなくて。簡単に言うとユズっちが何故それをあたしに隠してるのか、何故言ってくれないのかということにイライラして仕方がないのだ。正直かなりショックだ。確かに、義理とはいえ姉妹で、しかも恋人同士だなんて言いにくいのはわかる。でもそれを言ったからってあたしがユズっちを嫌ったり離れていったりすると思っているのだろうか。ユズっちにとってあたしはその程度の存在なのか。
あともうひとつ気に食わないのはあの会長がどう見てもユズっちを大切に思ってるとは思えないことだ。好きでもないのに寂しさを埋めるためだけに付き合ってるのだとしたら。そんなやつはユズっちにはふさわしくない。・・・よし決めた。明日思い切ってユズっちに聞いてみよう。心の中でそう呟いてその日は早く寝た。

「ユズっち、ちょっといいか?」
放課後。ユズっちと教室に二人きりになったのでチャンスと思い聞いてみることにした。
「んー?何〜?」
あたしはユズっちの両肩をがしっと掴んだ。
「ななな何?どしたのはるみん?」
「あのさ。ユズっちに聞きたいことがあるんだ。絶対正直に答えてくれ」
「う、うん?」
何を言われるのか戸惑った顔のユズっち。
「この間、ユズっちぶっ倒れて保健室に行ったよな?その時、見ちゃったんだけどさ」
「え・・・?」
「ユズっち。・・・会長とキスしてただろ」
言った途端ユズっちの顔がこわばる。
「ユズっちの恋人って会長なんだろ?」
「・・・ごめん」
泣きそうな顔のユズっちを見てやはり本当なんだな、と確信する。
「謝るってことはほんとなんだな?」
「・・・」
「ちゃんと答えてくれ、ユズっち」
「・・・うん。そうだよ。あたしと芽衣、付き合ってるんだ」
「ああ。やっぱりな」
「え?あの。嫌じゃないの・・・?」
「何が?」
「だって。気持ち悪いでしょ?」
「別に。会長が相手だとは思わなかったけどなんとなくユズっちの恋は普通じゃないのかなって思ってた」
「え・・・?」
「だってさ、ユズっちって男の話題一切しないじゃん」
「そ、そっか・・・」
「あー。でもまあよかったよ」
「え?」
「もしかしたらなんか不倫とかやばいやつかなとか思ってたからさ。そうじゃなくて安心したよ」
「で、でも。女の子同士で姉妹なんだよ?」
「別にいいじゃん。ていうかショックだったんだぞ」
「え?」
「だってユズっち言ってくれないからさ」
「ほ、ほんとに変だと思わないの・・・?」
「思わないって言ってんじゃん」
「うわー!はるみんマジありがとー!!」
「ふふ。いいってことよ。でもわからないなあ」
「ん?何が?」
「あの会長のどこがいいんだ?」
「え?うーん。そうだなあ。やっぱりかわいいところかなあ」
「か、かわいい?会長が?」
「うん!」
「きれいとかじゃなくてか?」
「違うよかわいいんだよー」
「ふーん。ユズっち趣味かわってんな」
「そうかな」
「例えばどんなところだよ」
「んー?えっとね。好きって言えないところとかかな」
「え・・・?」
「言えないんだよね芽衣。かわいいなあ」
「ちょっと待て。まさか1度も好きって言ってないとか?」
「うんそうだよ」
かわいいよね、なんて言いながらにこにこ笑ってるユズっちを見て、あたしは確信した。恋人同士で好きだと一度も言わないなんてこと普通絶対ありえない。やはりユズっちは騙されてるのだ、ユズっちは本当に優しいから。明日は会長を問い詰めてやることを心の中で決めて、その日は普通に帰ったのだった。

次の日。
ユズっちは今日は夕飯の当番だとかで買い物とかのために早めに帰ったのでこの機会を逃すまいと早速昨日思ったことを行動に移すことにした。
ガラっと理事長室の扉を開ける。入るのはもちろん初めてだ。
扉を開けて中に足を踏み入れるとそこにいたのは会長ひとりだけだった。まあ理事長室だから当たり前ではあるけれど。
「・・・会長」
椅子に座って書類を覗き込んでいる会長にあたしは声をかける。
顔を上げてこちらを見た会長は驚いた表情であたしを見つめる。
「谷口さん?・・・珍しいわね。もしかして、柚子に何かあったのかしら?」
「いや、そういうんじゃなくて。ちょっと会長に話しが。いや、聞きたいことがあるんたけど。時間・・・」
「いいわよ。ちょうど作業終わったから」
「じゃ早速聞くけど。昨日ユズっちに聞いたんだけど会長とユズっちは付き合ってるらしいな」
「・・・そうだけれど」
「でさ。ズバリ聞くけど会長は本当にユズっちのことが好きなのか?遊び半分で付き合うのはやめてほしいんだよ、ユズっちが傷つくから」
「どうして私が柚子のこと好きじゃないって思うのかしら」
「ユズっちから聞いたけど会長は一度もユズっちに好きって言ったことないらしいじゃん。恋人に一度好きって言わないなんてありえるか?ユズっち優しいから怒らないからそこにつけこんで寂しさ紛らわすためにユズっち利用してるんじゃないの?」
「随分私が悪者と決めつけるのね。まあいいわ。毎日言おうと頑張るけどどうしても言えないのよ」
「なんでだよ。なんで言えないんだよ」
「苦しくて言えないのよ」
「苦しい・・・?」
「言うときって当たり前だけど柚子をきちんと見つめて言わないといけないから。まさかそっぽ向いて言うわけがないでしょう?それで、私が柚子を見つめるってことは当たり前だけど柚子も私を見つめるわけよね。で、柚子に見つめられるとバカみたいに苦しくて何も言えないのよ」
予想を遥かに上を行く答えにあたしは息を飲んだ。見つめられただけで苦しいってそんな漫画や小説のような話しが本当にあるものなのか。あたしは何故か言いようのない悔しさを覚えて攻めるように会長に言った。
「ここに通ってる生徒のほとんどは許嫁がいるお嬢様なんだよな。一般の生徒でもそうだから、会長もいるんじゃないのか?」
会長が顔をしかめる。あたしはこれは図星だなとさらに攻めるように言った。
「男と結婚してユズっちとも恋人として一緒にいたいなんて最低だ思うんだけど」
「・・・そのことは解決したわ」
「解決?結婚が破談になった、ってこと?」
「そうね」
「でもあれじゃん。ユズっちと付き合い始めたときはまだ許嫁いたんだろ?その状態でユズっちと付き合うのOKしたのってそれも最低じゃないか?」
「・・・谷口さん、あなた柚子の友達よね?」
「え?ああ、そーだけど・・・」
「だったら悪いけれどそういうプライベートな質問には答えられないわ。私は恋人のただのお友達に自分のことすべて言うタイプではないから。言わなかったら谷口さんは私のことを悪く思うかもしれないけれど、私は自分の大切な人、たとえば家族や恋人に、わかってもらえればあとはそれ以外の誰になんと思われようともかまわないもの」
「・・・」
あまりの正論に反論する言葉が見つからず立ち尽くしているあたしに会長は追い打ちをかけるように言った。
「あと谷口さん、あなたは私のこと最低だって言うけれど。自分の嫉妬心だけで自分の好きな人の恋人を一方的に罵ったり悪く言ったりしているあなたも結構最低という言葉があてはまると思うのだけどどうかしら」
「あたしはユズっちを好きだなんて、そんなこと・・・」
「別にいいわよ柚子が好きだって言ったって」
「なんでそう思うんだよ、あたしがユズっちを好きだって証拠でもあるのか?」
あたしの言葉に会長は少し考えたふうに間をおいてからこう言った。
「前から谷口さんが柚子のこと好きなのかもしれないって思っていたのだけど。この間はっきり確信したのよね」
「え・・・?」
「ちょうど一週間ぐらい前からだったと思うのだけど。放課後私はちょっと忘れ物して教室に行ったの。そしたら谷口さんと柚子の二人だけがいて。入ろうかどうか悩んだのよね、二人だけの内緒話でもしてたら悪いかしらと思って。でも話し声が何も聞こえないからよく見たら、柚子は机に突っ伏して寝ていて、谷口さんはそれを机に頬杖ついてずっと見ていて。私は腕時計をしているからわかるのだけど40分は経っていたわ。普通ただの友人の寝顔を40分もずっと見ていたりするものかしら?しかも至近距離で頬杖つきながら。それにどうして起こさないの?起こさない理由は寝顔見ていたいからとしか考えられないのだけど。寝顔見ていたいなんて好き以外の何物でもないと思うのだけど違うかしら?」
「それは・・・」
固まるあたしに会長はさらにこう言ってきた。
「あと。・・・同じ、だったから」
何が?とあたしが聞く前に会長は言う。
「柚子から聞いて知っているかもだけれど私と柚子は同じベッドで一緒に寝ているのよ。だから寝つくまでずっとお互いを見ているのだけど。眠りにつくまで、・・・まあたいていは私のほうが寝つきがよいから先に寝てしまうのだけど。ずっと。ずっと見てるのよ、柚子が私のこと。恋人同士なのだから当たり前のことだけど柚子は私のことが好きなのよね。その。そういう目で。私を、見るのよ」
「そういう・・・?」
「だからその。なんて言ったらいいのかしら。うまく言えないのだけど。ひと言でいえば・・・、私のことを愛おしいって風な目をしているのよね」
「で、何だよ。何が言いたい?」
「だから同じなのよ」
「?」
「あの時、谷口さんが寝ている柚子を見ている目がそれと同じだったって言っているの」
「・・・」
「まあでも安心して。私は柚子には言ったりは絶対しないから」
「ほんと、か・・・?」
「ええ。慣れていることだし」
「慣れてる?」
「柚子ってたくさんの人に好かれているから。本人は自覚がないようだけれど」
「ユズっちはやっぱりそんなにモテんのか?」
あたしの言葉に会長はため息をつく。
「もう大変なのよ。とてもじゃないけどいちいち嫉妬もしてられないくらい」
「そ、そんなに・・・」
「女しかいない環境でこれだもの。この先男性もいる世界にいるようになったらもっと大変だと思うと嫌になってくるぐらいよ」
「ん?そんなこと言ったら会長だって今まで散々男の恋人ぐらいいたんじゃないのか?」
「・・・私、そんな風に見えるのかしら。男性とお付き合いしたことなんてないわよ、もちろん女性ともないのだけど」
「え。じゃあユズっちが初めての恋人ってことか?」
「そうね」
「でもさすがに初恋ではないよな?」
「いいえ。初恋だけれど、何かいけないかしら」
「マジ?うーん。ユズっちはどうなんだろうなー」
「・・・」
「ん?何で黙るんだよ会長」
「・・・柚子には言わないでほしいのだけど」
「うん?」
「私が初恋だって前言ってたわよ」
「げ!マジか!え、でも何でユズっちに言ったらいけないんだ?」
「何だか知らないけど恋愛経験豊富ってことにしたいみたいよ」
「あー。見栄を張りたいのか。よくわからんなユズっちの思考は」
なんて会話をしてたらちょうど下校のお知らせの放送が流れてきた。
「ごめんなさいもう帰るわね」
「え?あ、ああ・・・」
「ちょっと厳しいことをたくさん言ってしまって申し訳なかったわ」
「あ、いや。あたしの方こそなんかきついこと言って悪かったよ」
「・・・何か最後に聞きたいこととかあるかしら?」
「ん?あー。そうだなあ。聞きたいというか教えてほしいんだけど」
「ええ」
「ユズっちが明日お父さんに会いに行くって言ってたんだけど会いに行くってどういうことだ?離れてくらしてんのか?」
「・・・谷口さん知らないの?」
「え?」
「柚子のお父さんは柚子が3歳の時に亡くなってるのよ」
「え・・・。だって。会いに行くって・・・」
「ああ。だからお父さんのお墓に会いにいくんでしょ。明日は柚子のお父さんの命日だから」
「そんな。そんなこと・・・」
「そんなに驚くなんて。じゃあこれも知らないかしら」
「な、何だよ・・・?」
「柚子がどうして茶髪にしてるか知っている?」
「え?単にギャルだし好きでやってるんじゃないのか?」
「それが違うのよ。柚子のお父さんが茶髪だったらしくて。小さい頃お父さんとのつながりがないのを色々言われたらしくてそれを気にしてお母さんの言うこともきかずに髪の色ぬいてしまったんですって」
「だって・・・そんなこと言ったこと一回も・・・」
「そうね。そういう経験もしてきているから、だから柚子はあんなに魅力があるんじゃないかしら。何も経験してない人間なんて魅力ないでしょう?」
「そうか・・・」
「ごめんなさいもう本当に帰るわね」
「あー。そうだった。じゃあたしも帰るわ」
じゃあ、とあたしが理事長室から出ようとすると。
「あ、そうだ、谷口さん」
「?」
「・・・私は柚子を誰にも譲るつもりはないから」
「あっそ。じゃせいぜい誰かに取られないよう頑張りな、会長」
今度こそ、あたしは早足で学校の外へと向かった。

で、翌日。
あたしはまた放課後ユズっちと二人きりになったので、昨日会長と会話したことを正直に言った。するとユズっちはニコニコ笑って、
「あはは!だめだって芽衣になんて聞いたらさあ。たぶん芽衣きついこと言ったでしょ、ごめんねはるみん」
「あー。いや別にいいんだけどさ。柚子っちよくあんなきつい恋人で平気だよな」
「いや芽衣はさ、言葉にするのが苦手なだけなんだよ。例えばほら、犬とかってしゃべって伝えられないからかみついたりするじゃん、芽衣もそうなんだよ」
困った妹だなあなんて笑うユズっちはやっぱりちょっとおかしいのではと思った。
「なんだそりゃ。じゃあなんだ、かみついてきたりすんのか?」
「んーそうじゃなくて。えっと。行動で訴えるっていうか・・・」
「え?まさか暴力か?」
「違う違う。んー。まあたとえばあたしがうるさいとするじゃん。そしたら静かにしてっていうんじゃなくて、その、キ・・・」
「ん?」
「あ。い、いやごめん何でもないよあはは」
「何だよ気になるだろちゃんと言え!!」
「で、でも恥ずかしいなあ・・・」
「恥ずかしい?一体何だよはっきり言えって!」
「えー?その・・・。いちいちキスであたしを黙らせるんだよ」
「・・・」
「あはは驚いた?ごめんねはるみん」
「あー。いやなんていうか。ユズっちは嫌じゃないのか?」
「え?恋人にキスされて嫌なわけないじゃん〜」
「まあそうだけどさあ。やられっぱなしなんだなユズっちは」
「いやそんなことないよ?たぶんあたしのほうがやりすぎて芽衣困ってるんじゃないかなあ」
「ん?なんだそりゃどういう意味だよ」
「え。あ、い、いやごめん何でもない・・・」
「隠さず言え!!」
「いやさすがにこれはちょっと言えないっていうか・・・」
「いいから言えっつーの!!」
「わ、わかった、首しめるのやめてー」
「言わないとこのまま殺してやる!!」
「ぎゃー!死にたくないー!」
「早く言え!」
「あ、あのね。その。あれするんだよあれ」
「あれじゃわかんないって」
「いやだってそんなはっきりこんな昼間から言うってのは・・・」
「よし、死にたいんだな」
「げ!わかった、言うから〜!」
あのね、と声を小さくするユズっちにあたしは耳をすました。
「その。・・・エッチするっていうか」
「・・・あ?」
「ごれ以上言いようがないよう〜」
ちょっと待て。マジか。恋人同士だからそういうことしてもおかしくはないのはわかってるけど。やばい結構ショックだどうしよう。
「何、ユズっちがやりすぎってそういう・・・」
「あー!もういいじゃんやめようよこの話〜」
純情なユズっちはいったいどこへ・・・。ていうかやりすぎて相手が困るっていったい何をしてるんだ何を。
「ん?女同士って声でないのか?」
「は??なんで?そんなことないよ?」
「だってじゃあ親に聞こえたりしないのか?」
「ああ。大丈夫いないときにしてるから」
「んー?あれ。だって・・・」
「え?何?」
「ユズっちの親も会長の親もいないなんてそんなことたびたびあるのか?」
「ん?いや家にはあたしのママしかいないよ?」
「え?会長の親は・・・?」
「んっと。ああはるみん知らないか。芽衣は小さい頃にパパとママが離婚してるんだよ。で、パパがたぶん引き取ったのかなと思うんだけど、そのパパも海外行っててずっといないの」
「そ、そうか・・・」
何だか、それを聞いて、どうして会長とユズっちが恋人になったのか、なんとなくわかった気がした。
「勝てないなこりゃ・・・」
「え?何が?」
「あー。いやなんでもない」
「うん?あ!ごめんもう帰らないと!」
「ああ、夕飯当番か?」
「うん」
「あれ?会長は料理しないのか?」
「あー。芽衣は料理できないんだよ」
「ふーん。じゃあユズっちが料理してる間なにしてんだよ会長は」
「えっと。ひたすらクマ五郎だいて座ってるけど」
「は?クマ五郎?」
「あ、んーと。芽衣がパパからもらったクマのぬいぐるみだよ」
「すげーネーミングセンスだなおい。ていうかだいていられるくらいでかいのか?」
「そうだねえ」
「待て。16でそれってやばくないか?」
「あはは!それがかわいいんじゃん〜!」
「・・・」
なんだこいつら。頭大丈夫か??なんかとても心配になってきてしまった。
「あ、そういえばはるみんは好きな人とかいないの?」
無邪気に笑いながら聞いてきやがってこの野郎。あたしが好きなのはお前だよ!!と心の中で盛大に突っ込んだ。
「んー。いないなあ」
「そうなんだ。あれ?そういえばはるみんて今まで好きな人とかいたの?」
「いやいないけど」
「へー。じゃ初恋まだなんだね、いい人見つかるといいね」
初恋してるけどね・・・。あたしはユズっちに気づかれないようにため息をついた。
「ほら帰るんだろ?」
「あ、そうだったー」
なんて言いながら二人で玄関まで行くと。
「あ、芽衣!どしたの〜?」
会長がいたのであたしは思わず視線をそらした。気まずいなあ・・・。
「ちょっと仕事が早く終わったから」
「そうなんだ!じゃ三人で一緒にかえ・・・」
「あーごめんユズっちあたし用事思い出したから会長と先に帰っててくれ」
「え?そう?じゃあね、はるみんまた明日」
「ん、またなー」
「・・・」
「あ?何どしたの二人とも変な顔して」
「いいから行くわよ柚子」
「はーい」
あたしと会長はきっと同じことを思ったはずだ。
この鈍感で罪な奴め、と。






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