「えへへ」
ベッドで寝転んでけたけた笑ってるあたしにはるみんが話しかけてくる。
「なんだよユズっち、なんでそんなに嬉しそうなんだ、今日なんかあったのか?」
「んー。はるみんには言ってもいいかな。あのね。あたし好きな人に告白したんだけどOKもらったんだよ〜」
「マジか!よかったなユズっち!やっぱモテんだなユズっちは」
「え?いやそれはないけど。付き合えると思うと嬉しいよー」
「そりゃ嬉しいな、やったじゃんユズっち。よしよしほめてやる」
「なんだよそれ〜」
はるみんが頭をなでてくるのでくすぐったくて肩をすくめた。
でも。はるみんは相手が誰かは聞いてこないんだなあ。きっと気をつかってくれてるのかなと思うと嬉しいけども。
「じゃユズっち頑張らないとな」
「え?何を?」
「だって恋人同士で色々するんだろこれから」
「え・・・」
そうだ。色々か。色々・・・。芽衣に、その。あんなことやこんなことして・・・。
「おーい。ユズっち大丈夫か帰ってこいー」
興奮して今夜は眠れないな、と思った。

あの告白のキスの時から動悸がなりやまない。これはどうしたものだろうか。
考え込んでると姫子が話しかけてくる。
「あの。メイメイ?」
「・・・?何?」
「何だかとても嬉しそうですけれど何かありましたの?」
「別に何もないわよ」
「でも耳が真っ赤・・・」
「何でもないって言っているでしょう」
「な、ならいいのですけど。そういえば藍原柚子がメイメイのところへ行ったようなのですけど会いました?」
「ええ」
「あら。また迷惑でもかけられたのでは?」
「別に大丈夫よ」
「あの・・・」
「何?」
「耳だけじゃなくて顔も赤いですわよ、本当に大丈夫ですの?メイメイ」
「大丈夫よ。・・・ちょっと外行ってくるわ」
「え?あのメイメイ?」
これ以上隠しとおせそうになくて、私は思わず部屋の外へ飛び出した。

「なんだよコーラないじゃんこれだからホテルは気がきかないんだよなー」
ホテルの7階にある自販機コーナーでぶつぶつ文句を言ってると背後に人の気配がしたのであたしは振り向いた。その姿を見て死ぬほどびっくりする。
「うわ!め、芽衣?な、なんでここにいんの!?」
「あなたこそ何やってるのかしら自販機に文句つけて」
「いや、コーラがないからどうしようかなみたいな」
「あなたそんなコーラばかり飲んでると体壊すわよ」
「え?じゃ何飲めっての?お茶?やだよそんな年よりくさい」
「じゃ家でお茶ばかり飲んでいる私は年よりだとでもいいたいのかしら」
「そ、そういう意味じゃ・・・」
「部屋に戻るわね」
「は?何その行動わけわかんないよー」
去ろうとする芽衣をあたしは追いかける。
「ついてこないでくれないかしら」
「芽衣〜!」
「叫ぶのやめなさいここどこだと思ってるの」
せっかく恋人同士になれたというのにこの冷たさ。いいんだめげないんだから。
何かいい方法はないかなと思ってあたしは思いついたことを実行することにした。
「芽衣、こっちきて」
「ちょっ、何なのよ」
「いいから」
あたしは芽衣の手をひいて人気のない廊下の隅にまできた。
「・・・ここにきて何の用があるのかしら」
「いやー芽衣かわいいから!」
「答えになってな、んっ・・・」
抱き寄せて強引にキスをする。最初は抵抗していた芽衣だったけど何度も唇をあわせているうちにおとなしくなる。舌をいれようとしたのにそれを拒んでるのか芽衣がなかなか唇を閉じたままなのでどうしようかと思ったが、ふと思いついてそっとその耳を指でなぞると、芽衣が体をびくりと反応させて。その隙に舌を割り入れる。
「・・・っんっ・・・」
舌を絡めるキスはあの芽衣のパパのことがあったとき以来だけど。
やっぱり気持ちいいなあなんて思っていると、芽衣があたしを必死にひきはがす。
「?芽衣?」
「これ以上・・・」
「うん?」
「これ以上したら、今日眠れなくなるから・・・」
そう言って真っ赤な顔で俯いてしまった芽衣がかわいくて。それはどういう意味?と聞こうかと思ったけどやめた。恋人にいじわるするのはよくないし。
「わかった、じゃ部屋に戻ろうか」
小さく頷いた芽衣と手を繋いで二人でそれぞれの部屋まで歩く。
「あのさ、芽衣」
「・・・何?」
その耳元にあたしはささやく。
「続きは、家でしようね」
あきれたようにため息をついた芽衣の耳が真っ赤なのにはあたしは気が付かないふりをした。





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