芽衣と無事また一緒になれて幸せだし何も問題はないんだけど、芽衣の態度ががらっとかわったのがどうにも心臓に悪い。素直に甘えてくるようになったし可愛すぎてドキドキして仕方がない。まあたぶん芽衣はずっと自分を抑えていたからきっと今の芽衣のほうが本当の芽衣なんだろうけど、今までつんつんした態度になれてしまっているからその差が色々やばいのだ。 で、まあとりあえず朝ごはんを食べようなんて思っているとベッドに座っているあたしに芽衣が後ろから抱きついてくる。 「あ、あの、芽衣?」 心臓バクバクで声がひっくりかえる。 「・・・少しだけだめかしら」 「う、うんじゃ少しね」 前なら朝からこんなこと絶対しなかった。キスしたりはしてたけど全部あたしが強引にしていたし。あと前から思ってたけど後ろから抱きつかれると芽衣の胸が背中にくっつくわけでそれが気になって仕方がない。 どうしたらよいかわからないからとりあえずお腹にある芽衣の手に自分の手を添える。 ふと時計に目をやるともう行かないといけない時間だったからあたしはほんとうはこのままでいたいのをこらえて芽衣とそっと体を離す。 「芽衣、もう行かないと」 「・・・そうね」 なんだか残念そうにうつむく芽衣。 しょんぼりした犬みたいになるのやめてほしい。 抱きつきたくなるのをこらえてあたしはなんとか部屋を出たのだった。 学校へ行く道をいつものように手をつないで歩いていると。 「柚子」 「うん?」 芽衣が小さい声でつぶやく。 「もう少しゆっくり歩いてくれないかしら?」 「え??」 よく意味がわからず聞き返すと芽衣は恥ずかしそうに視線をそらしながら言う。 「その。学校についたら手を離さないといけないから・・・」 げっ。なんだそのかわいいセリフは。襲いたくなったけどここは外だし我慢我慢。 「じゃ、ゆっくり歩こうか」 あたしがそう言うと芽衣はうなずいてキュッと強く手を握ってくる。理性がふっとびそうになるのをこらえてできるだけゆっくり学校へ向かったのだった。 放課後少しはるみんと話してると芽衣が教室に入ってきた。 「あれ?芽衣どしたの?生徒会は?」 「朝に作業だいたい済ませたしもう終わったわ」 「えー早いなあ、なんか最近頑張ってるね無理してない?大丈夫?」 「おいユズっちわかんないのか?」 「は?何が・・・??」 あたしのが言うとはるみんは呆れたようにため息をつく。 「だから会長はユズっちと帰りたいから生徒会を早く終わらせてるんだろ」 「え?そ、そうなの?」 「そのぐらいわかれよ。ほら早く二人で帰りな」 「あ、はるみんは?」 「だから会長はユズっちと帰りたいんだっつーの」 「芽衣ははるみんのこと嫌いなんかじゃないよ?」 「そうじゃないだろ、ただ恋人のユズっちと二人きりで帰りたいって意味だよ」 「そ、そうなんだ」 「会長大変だな恋人がこんなに鈍いと」 「平気よ、慣れてるもの」 「なんかあたしバカにされてる??」 「帰るわよ柚子」 「じゃあなユズっち〜」 「あたしの意見はスルーなんだね」 芽衣に手を引かれて教室をあとにしようとするとはるみんの声が聞こえる。 「会長も苦労するよな」 「あたしが何したって言うんだ・・・」 放課後とはいえ校内で手をつないでいいのかなと思いながら帰り道も朝と同じようにゆっくり歩いて帰宅した。 夕飯時何が嫌かってママがあたしたちのことを色々聞いてくることだった。義理姉妹の娘同士の恋愛事情聞きたいなんてママはやっばり変わってる気がする。でもあたしは実の親に芽衣とあれこれしたなんて話はしたくないから黙っていると。 「二人とももうエッチとかはしたの?」 「ママ酔いすぎだよ何言ってんの」 「したの?ねえ芽衣ちゃん?」 「・・・いえ」 でた超大嘘。たくさんしてるのに。しかも出会ってすぐキスしてさらに風呂場で襲ったくせに。あれだむっつりスケベってやつだな。あたしも人のこと言えないけど。 「あらだめよ柚子リードしてあげなくちゃ、芽衣ちゃんはおしとやかなんだから」 いやだから芽衣に散々おそわれまくってるんだけど。本性を知らないって怖い。 とりあえず会話を無理やり中止して芽衣と部屋に戻ったのだった。 さて寝ようと一緒に布団に入ると芽衣がこちらを向く。また何かしてくるのかとドキドキしてたが何やらもじもじしている芽衣。 「あの、柚子聞きたいのだけど・・・」 「うん?」 悩まし気な芽衣の表情。一体なんだろう。 「あまりなんていうのかこう。あなたに触れ過ぎたりはしないほうがいいのかしら」 「え!そんなことないよ芽衣がしてくれることは全部嬉しいししてほしいよ?」 「でも、不愉快だったりしないかと」 「するわけないじゃん、どしたの急にそんなこと」 「あの。小説で読んだのよ。あまりベタベタしすぎたり積極的に触れたりすると嫌われるって」 「あーなるほど。そういうのが嫌な人も確かにいるけどそんなの人それぞれだよ、あたしは全然違うもん。芽衣が素直になってくれて嬉しいよ」 「でも何だかあなたが困ってるように見えるから・・・」 「違うよ!芽衣に触れられるとドキドキして耐えられないだけなんだよ嬉しいけど落ち着かなくて」 「じゃあ遠慮しなくても大丈夫なのかしら?」 「うん!むしろお願いします!」 「言葉にはなかなかできなくてごめんなさい」 「いやこの前好きって言ってくれたじゃん!あたし聞いたとき死ぬかと思ったんだから。あのさ、言葉なんか無理に言わなくていいから芽衣がしたいことしてくれればいいよ」 「・・・それは今も?」 芽衣の手がすっと伸びてあたしの頬に添えられる。 あたしが答える代わりに目を閉じるとすぐに触れる柔らかい感触。お互い目をあけて。たぶん考えてることは同じだ。 あたしから今度はしようとすると。 「結局最後はあなたからしつこくされるのね」 「だめ??」 「・・・だめじゃないわ」 そう言った芽衣の唇をすぐに塞いで。 今日もいつものように時間を忘れてキスをするのだった。 |