休日の朝は目覚ましをかけてない。だから部屋の明るさで自然に目が覚める。
なんとなく自分の右手を動かそうとしてそれができないことに気づく。その手に目をやると芽衣があたしの手をしっかり握っているのがわかり思わず顔がほころぶ。しかも自分の枕から離れてあたしに寄りくっついてるし。まあいつものことなんだけど芽衣はかなり甘えたがりだと思う。でもそれがまた可愛いんだなうん。こんな芽衣はきっとあたししか知らない。今日は芽衣が戻ってきてくれてから初めての休日。今日は1日芽衣とゴロゴロして過ごす予定だ。と思いながら時計を見たら11時だった。芽衣は起こさないといつまでも寝るタイプなので仕方なく起こすことにする。
「芽衣、朝だよー」
そっと肩をポンポンと叩くが。
「ん・・・」
何故か余計あたしにすり寄ってくる芽衣。そういうかわいいことしないでほしい、起こせないじゃないか。めげずに何度か肩を叩くと芽衣がやっと目を覚ました。
「・・・」
寝ぼけているようで不思議そうにあたしをじっと見る芽衣がかわいくて襲いたくなったが我慢我慢。
「ごめんね起こして、もう昼近いから」
「もう昼・・・?」
「うん」
しばらく間があいてやっと芽衣はちゃんと話せるようになる。
「今何時かしら?」
「んーと。11時過ぎかな」
「じゃあ・・・」
「?」
少し間があいてから芽衣が上目遣いで言う。
「お昼ご飯まで一緒に寝ていたいのだけどだめかしら」
うう。またそんなかわいいことを。心臓破けそう。
「う、うん。いいよ」
遠慮がちにくっついてくる芽衣がかわいくてあたしはそっと抱きしめた。どうも芽衣はかなり冷え性みたいでいつも冷たいのが心配になる。あたしが温めてあげられるくらい体温が高くてよかったと思う。
気づいたら芽衣の手があたしの背中にまわされていて。こんな風にするのは半年ぶりだから何だか新鮮に感じる。
「まだ、夢みたいね」
「ん。そうだね。半年顔も見てなかったからなあ」
「・・・私は時々あなたを見ていたわ」
「え?何で?」
「窓から校庭にいるところとか」
「そうか、芽衣は校内点検とかするもんね。芽衣だけ見てたんだずるいなあ」
「・・・ごめんなさい」
「あ、いや全然いいんだけど」
「実はあなたが他のみんなと楽しく笑っているから私のことなんて忘れたのかと思っていたの」
「えー違う違う。みんなねあたし達のこと話したら応援したりしてくれてさ、それで嬉しくて笑ってたんだよ」
「それはあなたに話聞いてびっくりしたの。そんなにみんながあなたに協力して私とのことを考えたりしてくれただなんて」
「うん。よかった芽衣が結婚しちゃう前に間に合って。あ、でも」
「?でも?」
「まあもし結婚したあとだとしてもあたしは同じ風にしたけどねきっと」
「あのときは怒鳴ったりしてごめんなさい」
「いやいや大丈夫だよ、芽衣はあたしのこと考えてくれてそうしたのわかってるから。あたしのほうこそ色々ごめんね」
「別にあなたは何も・・・」
「いやそれがさ、みんなに特にはるみんには今までのこと話したんだよそしたらあたしが鈍すぎるって呆れててさ。あたし鈍いんだなあと思って」
「あなたが鈍いのは最初からだから別にいいわよ」
「それ微妙なフォローだね」
あたしが苦笑いして言うと突然芽衣の唇が押し付けられる。
「あ、あの。何で急にキスをっ」
「あなたの鈍い部分は嫌いじゃないという意味で」
「それ口で言えばいいんじゃっ」
「じゃもうしないわ」
「うわ!違うよ!するのはいくらでも大歓迎だから!やめたら嫌だ!!」
「わかったから叫ぶのやめなさい」
「芽衣〜!!」
「叫ばないでちょうだい眠れないでしょう」
「え?また寝るの?」
「あなたといると安心して眠いのよ」
「そ、そっかならいいんだけど」
あたしの答えを寝ていいと解釈したのかあたしに抱きついて芽衣がすやすや寝息をたてはじめる。
「うーんほんとよく寝るなあ・・・」
しばらく芽衣の寝息聞いてたら知らないうちにあたしも眠ってしまった。

「ん・・・?」
目を覚ましなんとなく時計を見ると夕方の5時だったからびっくりする。
「うわ、もう夕方だ〜」
久しぶりに芽衣とこうして寝たせいなのかまさか昼も食べず夕方まで寝てしまうとは。でも何故か心は満たされていて空腹は感じなかった。
芽衣を見ると気持ちよさそうに寝ていて起きる気配はない。芽衣はなんだってこんなに寝るんだろうか。普段頭を使うからなのか。あと寝る子は育つとかいうしあたしより芽衣のほうが背が高いのもたくさん寝るからかもしれない。
寝てるからいたずらしちゃおうかな。なんて思ってキスしようとその顔に手を添えると。
「・・・?柚子?」
芽衣が起きたからあたしは何故か慌てて手を離し顔も離す。
「うわ!ご、ごめん」
「何焦ってるのよ」
「いや、何でもないよあはは」
「どうせ何かしようとしたんでしょ」
「うぐ。脳内が見透かされてる・・・。あ、もう夕方だよ」
「もうそんな?お母さんはまだ帰らないのかしら?」
「まだ帰らないみたいだね。連絡もないしたぶん遅くなるんじゃないかな。あ、お腹すいてない?」
「その机にある食べ物でいいわ」
「ん?あれスナック菓子だよ。あ、まさかそれ食べたらまた寝る・・・?」
「だめかしら」
「いやだめじゃないけどよくそんな眠れるね」
「・・・違うのよ、あなたとこうしていたいっていう意味よ」
そう言ってあたしにすり寄ってくる芽衣。だめだかわいすぎる。
「う、うんあたしも嬉しいけど」
あたしの答えにやはり寝ていいと思ったらしくあたしに抱きついて眠りにつきそうな芽衣に、
「あ、待って寝る前にいつもしてることしてもいい?」
その頬に手を添えて。芽衣が目を閉じるのと同時に優しくキスをした。







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