今日は私の誕生日。柚子と出会い一緒にいるようになってからすぐに誕生日を迎えたけれどあの頃はまだ柚子と打ち解けてなかったから。だから柚子に誕生日を祝ってもらえるのは今日が初めてなのだ。しかも恋人同士なうえに私の婚約者は柚子になってしまったし。冷静に考えてみると日本では結婚できないのに結婚してとプロポーズする柚子もそしてそれをいいと返事した私も両方どうかしてると思う。なんて考えながら私は柚子により強く抱きついた。そう私から柚子への誕生日のリクエストは1日ベッドでこうすることだから。
抱きついた私に柚子は少し笑いながらでも何も言わずただ優しく髪をなでてくれる。
柚子が誕生日に何でもしてくれると言ったから迷わず1日くっついてることをお願いした。半年触れ合えなかった分の空いた心の隙間を埋めたくて。今日は休日だしお母さんも仕事で遅くなるらしいから思う存分大好きな柚子の温かい体と匂いを確かめられる。
柚子は私が1日こうしていたいと言ったせいかベッド脇に飲み物とパンまで用意していてちょっとやりすぎな気がしたがまあ私のためを思ってやってるわけだから言わないでおこう。
「・・・幸せね」
心の中でつぶやくはずがつい言葉にでてしまった。
「そうだね」
冷やかされたら笑われたりするかと思ったが柚子も本音がでたらしい。つまりお互い同じ気持ちなのだ。そう思うと嬉しいようなむすがゆいようななんとも言えない気持ちになる。
こうしている心地よさに抗えず知らないうちに私は眠ってしまった。

「芽衣、芽衣ってば」
耳に心地よい声に眠りから覚める。
「起こしてごめんね、さすがに夕飯抜きはあたしもきついっていうか」
夕飯という言葉に今がもうそんな時間なのだと驚く。
「ごめんなさいつい寝て・・・」
「ん、別に大丈夫だよ」
昼にパンを食べてから寝てしまったはずだから6時間近くたっているはず。
「柚子、あなた何時間も一体何してたの?」
「え?こうしてくっついてたに決まってるじゃん」
「あなたも寝たのかしら?」
「ううん寝てないよ」
「じゃずっとあなた何してたのよ」
「芽衣の寝顔見てただけだよ。芽衣の寝顔かわいいから見てて飽きないもん」
笑顔で言われて顔が熱くなる。よくそういうことを平気で言えるものだ。柚子はストレートに何でも言うから聞いてるこちらが恥ずかしくなる。
「芽衣、誕生日プレゼントはないんだけどほんとにいいの?」
「いいわよ別に」
私は1日こうしていられたからプレゼントはいらないのだが柚子はプレゼントをしたいらしくしばらく考え込む仕草をしている。
「あ、そうだ。プレゼントあげるから目閉じて」
「?」
素直に目を閉じると少しだけ間が空いてから唇に慣れた柔らかい感触。
目を開けると嬉しそうな柚子の顔。
何だか悔しい気もしたがここは素直に気持ちを言ってみる。
「もう一度リクエストしてもいいかしら」
そう言ってすぐに唇を押し付けられて。
結局お母さんが帰ってくるまで時間を忘れて夢中でキスをした。







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