夕飯も食べ終わり二人部屋に入りそれぞれお互い隣同士で座り本を読んでいる。
柚子の元へ戻りしばらくたつが、最初は一緒にまたなれただけで満足だったけれどやはりだんだん欲がでてくるようで。
要するに柚子にもっと触れたいしできたら前のように抱きしめてほしいとも思うのだがどうにも恥ずかしくてそんなお願いを口にすることはできない。これが冬なら寒いからとか言えばいいのだけど今はもう梅雨間近。寒いどころか逆に暑さすら感じる季節だし一体どうしたらこの気持ちが伝わり望む展開になるか考えるけど思いつかない。
いくら柚子が察することが得意とはいえこんなことまでわかるわけもないし、今本を読んでいるのにだけなのに抱き合う展開にもなるはずがない。
でもすぐ隣にいるものだからどうしても触れたて思わず本を置いて柚子の手に手を重ねた。突然だからやはり柚子は驚いたようにこちらを見る。
「芽衣?どうかしたの?」
「その・・・」
何か理由を必死に探すうちに咄嗟にこう言った。
「あなたが、前みたいにしてくれないから」
「え?前みたいに・・・?」
勝手に柚子のせいにしてみたがやはりわからないだろうか。
「えっと。以前みたいに、か。夕飯食べて部屋に、だね。で、ん〜??」
考え込む柚子。別にひとことこうしてほしいといえば柚子はきっと喜んでそうしてくれるだろうにこんなまわりくどいことをしないといけない自分の性格が恨めしい。
「あ、そっかわかった!」
柚子がそう言ってニコニコ笑いながら私の腕を引き抱き寄せる。願いがかなったからほっとしてその背中に手を回した。大好きな柚子の匂いと体温を感じて幸せに浸っていると。
「芽衣、なんかごめんね」
「え・・・?」
何故柚子が謝るのか不思議に思っていると柚子が申し訳なさそうに言う。
「こうしてほしかったのがわかんなくてさ。あたしなんか鈍いから気が付かないんだよね」
「・・・もうわかってくれたのだからそれでいいわよ」
「うん、でもなんかあたしが鈍いせいで色々わかってあげられないのが悪いなあと思って」
「私は・・・」
「?」
その先の言葉を言うのを少しためらったが思い切って言ってみる。
「私は、あなたのそういうところが好きだから」
「えっ。い、今好きって・・・」
「・・・いけないかしら」
「そ、そんなことないよ!うわマジ嬉しいどうしよう」
「そんなことよりあなたわかってるの?」
「え?何が??」
これもまた言いにくかったがやはり頑張ってはっきりと伝える。
「明日からも、ずっとこうしてほしいのだけど」
柚子は嬉しそうに笑ってうなずき強く抱きしめてくれた。





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