「芽衣・・・。めーいってば」
「ん・・・?」
柚子の心配そうな声で芽衣は夢からさめて目を覚ました。
「芽衣、どうしたの?すごいうなされてたよ」
目がさめた様子の芽衣は柚子の方を見てため息をついた。
「ちょっと夢見が悪くて」
そっか、なんて呟きながら芽衣を抱き寄せる柚子。
「大丈夫、私がそばにいるから」
「ええ。わかってるわ」
冷静に答える芽衣にそっか、なんて言いながら柚子はこんなことを言う。
「その夢、忘れさせてあげよっか」
「?」
不思議そうな顔の芽衣に強引に口付ける。
いつもならそのまま深いキスが続くのにこの日の柚子は違った。
唇が離れたかと思うとそのまま芽衣の首筋に唇を這わせる。
「ん・・・っ」
「芽衣、声我慢して」
柚子の言葉に、次に起こることを予感する。
その唇が自身の胸に来た時、芽衣は思わず柚子の体にしがみついた。
それに構わず芽衣の胸の先端を、まるで何かおいしいものでも食べるように貪る柚子。
「・・・っ!」
まだ慣れないこの感覚はなんて表現したらいいのか。芽衣は思わず声を荒げそうになったが、先ほど声を我慢するようにという柚子の言葉を思い出して、必死にこらえる。そう、隣の部屋ではお母さんが寝ているから。聞こえたらシャレにならない。
しばらく柚子が与えてくれるその感覚に耐えていると、ふと柚子が唇を離す。
我慢することから解放されたか、と息をついた芽衣に、柚子はこんなことを言う。
「芽衣、足開いて」
初めてではないから、その言葉の意味はわかるのだが、恥ずかしくてどうしても素直になれず、
「・・・嫌よ」
突っぱねるように芽衣は言う。
「うーん。・・・じゃあいいや」
「え?」
やめる、という意味かなと思い体の力を抜いた芽衣は、それが間違っていることをすぐに知ることになる。
「んん・・・っ!」
強引に太ももの隙間を割って入ってくる柚子の手は、
芽衣が抵抗する間もなく、下腹部の中心部に到達して、そこに指が触れる。
「なんか、すごいことになってるねここ」
「や・・・っ」
ばか、と言って突き放したいのに力が入らない。
静まり返った暗がりの部屋にくちゃくちゃといやらしい音がひびく。
「やだ・・っ・・・もう・・っ!」
限界を訴える芽衣の声に柚子の指が更に大きく動く。
「・・っ・・・柚子・・・っ」
頭の中が真っ白になって、気を失ってしまった芽衣を柚子は強く抱き締めた。


「・・・柚子?」
「あ、気がついた?」
よかった、なんて至近距離にある柚子の笑顔。さきほどまでの行為を思い出して恥ずかしくなり、
「ばか」
なんて言ってその鼻をつかむ。
「いたたたやめてよー」
降参、とばかりに大騒ぎする柚子。
「静かにしなさい」
「はーい」
お互い黙るとまた静寂が訪れる。
「ねえ、芽衣」
「何?」
「嫌な夢、忘れられた?」
素直に答えるのはなんだか悔しかったのではぐらかすように、
「さあ、どうかしらね」
そう言って芽衣は目を閉じる。
けだるい疲労感からかすぐに眠りについてしまった芽衣に、柚子は起こさないようその額にそっとキスをした。
「おやすみ、芽衣」



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